2023年度がんに関する啓発アクション

アクション① パルシステムグループ全体企画

「がんのことしゃべっていいかな?」
~がん患者や家族を支える居場所 地域でのささえあい~

2023年のパルシステムグループ全体企画は3回目となったオンラインイベント。元フジテレビのアナウンサーで、血液のがん「悪性リンパ腫」に罹患した経験を持つ笠井信輔さんを司会に、10月21日(土)トークイベントをLIVE配信しました。

柔軟な発想でエネルギッシュに活動する谷島さん

ゲストの谷島雄一郎さんは2012年(当時34歳)、食道に希少がん(GIST)が見つかり、手術を繰り返して現在は経過観察中。現在は会社勤めと並行して、「がん経験を新しい価値に変えて社会に活かす」をテーマに、さまざまな社会的活動に取り組んでいます。発起人・世話人をしているダカラコソクリエイトとは「がん経験者“だからこそ”」の意。トークでは取り組みの一部として、がん患者に寄り添ったオリジナルLINEスタンプや、がん患者にとっては身近なものである医療機器をミニチュアにしたガチャガチャの制作・販売などを紹介してくれました。

がん当事者同士の息の合った“あるある”トーク

笠井さんはフリーアナウンサーになった直後に、谷島さんは長女の誕生とほぼ同時にがんが見つかりました。ともに人生これからというタイミング。がんとわかったときの思い、検査や治療方法を探しまわったエピソードなど、経験者だからできるリアルなトークが飛び交いました。また、ふたりともがんの経験を元に、様々なかたちでがんに関することを社会に向けて発信しています。共通して取り組んでいるのが、多くのがん患者が陥りやすい「居場所問題」です。

優しさから来る問題「アンコンシャスバイアス」とは?

がんと告知されたときに悩むのが、誰にどこまで伝えるかだと言います。特に悩ましいのが職場に対して。「無意識の偏見」とも呼ばれるアンコンシャスバイアスとは、がんだと知らせたばかりに上司や同僚から気を遣われ、治療がたいへんだからと仕事をしなくていい、辞めてもいいなどのように排除されてしまうこと。やさしさから出ていても、当事者にとっては「居場所を失った」と感じられ、問題となっています。
それに対する取り組みとして、笠井さんが「マギーズ東京」(豊洲)を取材したときのようすや、谷島さんがオーナーを務める「がんをカジュアルに語るCafe&Bar カラクリLab.」が紹介されました。

精力的に活動をしているおふたりだけにたくさんの話題が飛び出て、あっという間の1時間30分となりました。結果的に、ライブ配信していた時間帯には206名の方にアクセスしていただき、配信後のアーカイブ配信の視聴も含めると、全体で1,023回(10月31日時点)の視聴回数となりました。

 

アクション② エリア開催企画

各地域の組合員向けにそれぞれの会員生協が開催した企画はこちら (がん検診の啓発ちらしやグッズ配布、がん罹患者による学習会、がんの患者会への支援等)

  • 2023年度のエリア開催企画(2024年度に更新予定です)

アクション③ 内部学習会

「がん患者の食べる喜びを考える食事の工夫」

9月12日(火)に川口 美喜子氏(大妻女子大学 家政学部 食物学科 教授)による学習会「がん患者の食べる喜びを考える食事の工夫」をパルシステムの役職員と活動組合員向けにオンラインで開催しました。

  • 本学習会は、下記よりご視聴いただけます。

がん患者の食事

がん患者における食事とは、健康を維持・増進し、疾病の予防や治療に必要な栄養を満たす「栄養学的側面」と食習慣や食文化を満たし、QOLや社会性を高める「精神・社会的側面」の両面が必要であると説明しました。
がんにかかった時、これからの治療方法や経済的なこと、家庭や家族のことなど戸惑いや辛さ等で食べることを考えることがどうしても後回しになってしまうこと、そしてがんの治療に効果的な食事、治療中の体力を維持する食事に関わる情報を得る機会が少なく、悩みがあっても相談できていない方が多くいるといった、がん患者の食事に関する状況を伝えました。
正しい情報を得る方法として、暮らしの保健室やマギーズ東京といったがん患者を支える居場所や最近ではドラッグストアにも管理栄養士がいることを紹介しました。

バランスの良い食事のとり方

栄養不良が治療の経過と予後を左右し、食事をとることが治療開始前から治療中、治療後の身体に大きな影響を与えることを伝えました。
自身の健康状態を知る方法として、体重が1週間で2%以上の減少が2週間継続した場合、栄養状態に影響するため、体調の管理と食事量や内容の調整が必要であると説明しました。
主食、主菜、副菜がバランスよく摂取できるワンプレートを活用し洗い物が短時間で済むように工夫することや食材をつぶしたり混ぜたり、ポタージュやスムージを作るにも便利なハンドブレンダーなどの簡単な調理器具を治療前から用意すること等、具体的な方法を紹介しました。

おすすめしている栄養や食材

腸内環境は脳機能に影響を与えるので(脳腸相関)、腸内フローラのために何を食べるかが健康への鍵であると伝え、納豆やヨーグルト等、腸に有用菌を届ける「プロバイオティクス」とブロッコリーやキノコ類といった食物繊維等、有用菌を育てる「プレバイオティクス」を組み合わせて用いる「シンバイオティクス」で腸活はより一層効果的になると説明しました。
また、穀物、豆・芋、海藻といった3つの食物繊維を摂るなど、単一の食品に偏らないで、多種類の食品を食べること、そして食べ物で栄養が摂取できないときは、栄養補助食品で必要な栄養を補うことも大切であると説明しました。

味覚障害

抗がん剤の治療中には、味覚減退、味覚消失、味覚過敏、異味症等、様々な味覚障害があり、ハミガキがまずくてできない、水が金属やゴムのような味がする等、人によって症状は様々であることを伝えました。
回転寿司では、お寿司以外にもたくさんのメニューがあるので食べられるものをみつけられることもあるといったことや、水のにおいがダメな場合、ガリガリ君のアイスなら食べられるケースも多くあるといった事例を紹介しました。
また、インターネットやデリバリーを活用して食べたい時にタイミングを逃さずに食べることも大切であると説明しました。

最後に・・・

「生きる力の根源」としての食を提案する仕組みを作ることが大切だと考え、寄り添った食事を受けられる患者が幸運な患者ではいけない、「ごちそうさま」と食べる喜び・笑顔を持ち続けるような食事を提案し続け、家族・友人・知人に残される「美味しい笑顔」がありますようにと願い、管理栄養士であることの使命を持ち続けたいと伝えました。

 

前のページへ戻る

組織情報

 
ページトップ
©Copyright パルシステム共済生活協同組合連合会/株式会社パルふれあいサービス